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台湾海峡に臨む河港・淡水 (臺灣・はじめての国外旅行4)

旅行日:平成30年4月13~16日④

最初の記事 台湾・はじめての国外旅行
前の記事 台北の近代建築をめぐる(前) 台湾博物館、中山堂、中華民国総統府など
 台北市街散策を切り上げ、一旦ホテルに戻ったのが15時頃。この後は淡水に向かい、夜にはまりんさんの大学院時代の先輩だというRさんとお会いすることになっている。
 淡水は私が台湾で訪れたいと思っていた街の一つであり、陽が暮れる前に一巡りしたい。

 ところが、まりんさんはスマホに目を落としたままだ。「そろそろ…」と促すと、「すまんが、ちょっと歯医者で歯を削ってくるわ」。どうやら私が思う以上に痛みは深刻だったようだ。ちなみに台湾では歯科医院のことを牙医院というらしい。

 初めての国外で単独行動になるとは思っていなかったが、午前中の感じで何とかなりそうな気がした。
 民権西路駅から淡水駅までは捷運淡水信義線で一本。淡水信義線は日中4分おきの運転で、象山・淡水間の通し運転と大安・北投間の区間運転が交互に設定されている。ホームに降りると北投止まりが入ってきたが、とりあえず乗ってしまう。

北投ゆき電車が到着
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 電車は走り出すと、地上に出てそのまま高架に上がった。景色が見えるのは嬉しいが、雨が降ってきた。民権西路から淡水までは駅が15もあり、30分以上を要す。
 淡水信義線は廃線になった台鉄淡水線をトレースしており、単線非電化のローカル線(※)から複線電化頻発路線にパワーアップした恰好だ。基隆河を渡り、山裾の市街地を高架線から見下ろしながら進む。ちょこちょこ停まるので、快速電車が欲しくなる。
※1980年の時点で台北・北投間一日35往復

 北投の一つ前の奇岩を発車すると、本線から別の線に岐かれた。本線は上下線が立体交差で入れ替わり、北投駅は左側通行になるのだった。北投止まりの電車は上りホームの向かい側に到着し、大安に向けて折り返す。この駅からは短い新北投支線が分岐しており、北投温泉のある新北投に通じる。日本統治時代からの温泉地なので行ってみたかったが、時間の都合でカットする。

右に分岐する新北投支線。温泉地というよりも都市近郊の趣き
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 ホームを変わって、淡水ゆき電車に乗り換え。北投を発車すると再び右側通行に戻り、左手には宏大な車輛基地が広がった。
 線路際にコストコがある関渡駅を過ぎると、大きくカーブして淡水河に寄り添う。台北市から新北市に入った。新北市は台北市を取り囲むような市域をしている。東京でいえば、旧荏原・豊多摩・南足立・南葛飾郡の町村が合わさって“新東市”とするようなものだろうか。新北の“北”は台北の意とのこと。

 左手に雨にけぶる淡水河を望みながら走り、終点の淡水に着いた。単独行動の自由さで、眺めの良いホームでも少し写真を撮る。

淡水駅の高架ホームから望む淡水河
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捷運の電車は下膨れのデザイン
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 民権西路駅からの運賃はICカード割引で36元(約133円)であった。地下鉄に15駅乗車して、ようやくJRの初乗り運賃程度だとは…。
 電車からはかなりの数の客が降り、折り返し電車にも乗る。家族連れやカップルなど、観光客風が多い。
 雨が上がったので、人の流れを無視してまずは淡水河の河畔に立った。川幅は広く、対岸の八里が1キロくらい離れている。この辺りは感潮域にあたっているようで、潮が引いて舟が取り残されている。マングローブのような木々にも南国を感じる。

中華風の淡水駅
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潮の引いた淡水河
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マングローブに水上住宅
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 駅の裏手の寂しいところには淡水文化園区というのがあり、煉瓦造りの古そうな建物が集まっている。地面に埋め込まれたレリーフによると、小さな油槽所かなにかだったようだ。

煉瓦造りの建物が残る淡水文化園区
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淡水駅からの引き込み線だったのか、敷地内に残る軌道
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敷地内のシンボリックなガジュマルの巨木
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雨に濡れたネコの姿も…
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 川沿いの散策路を辿る。行き交う人々の多さもさることながら、店舗の客引きも賑やかだ。オシャレなカフェと胡散臭い土産物屋が混淆するのはどこの観光地も同じらしい。フェリーターミナルからは対岸の八里や河口の淡水渡漁人碼頭への船が出ている。川幅が広いためか、かなり上流まで行かねば橋がないのだ。
 再び雨脚が強まり、歩くと蒸し暑い。

川沿いには観光客向けの飲食店や土産物屋が並ぶ
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対岸の観音山を雲が覆う
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潮の引いた漁港の景
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 国道のような広い道に出ると、山が迫る。通りを横切って急な坂道を登ると、真理大学があるなど淡水の文教地区となる。

―淡水は淡水河河口に位置し、台湾海峡に面した要地であった。
 16世紀の台湾にはまだ漢民族も僅かで、明国の支配が及ばぬ地であり、沿岸諸国の海賊である倭寇の拠点の一つだったとされる。
 東アジアへの進出を試みるオランダは1622年に澎湖諸島を占領し、その2年後には澎湖諸島から撤退する代わりに台湾を手に入れた。オランダは現在の台南市に城を築いて貿易の拠点にし、莫大な利益を上げた。
 一方、スペインは台湾島北東端のサンディエゴ岬(のちの三貂角)から鶏籠(基隆)、滬尾(淡水)へと進出した。滬尾にはサン・ドミンゴ要塞を築いて貿易拠点とすることを目論んでいたが、フィリピンからの船便は台風に妨げられて杜絶状態となり、基隆以外を放棄せざるを得なくなった。スペインの進出に危機感を持ったオランダは艦隊を派遣してスペインを駆逐し、台湾島北部まで勢力を拡げた。
 オランダはサン・ドミンゴ要塞の跡地にアントニー要塞を築いた。その後、アロー戦争の講和条約である天津条約によって清国は10港を開港させられ、その一つに淡水が入った。これを機にアントニー要塞にはイギリス領事館が置かれた。漢民族は西洋人のことを“紅毛”と呼んでいたため、現在では紅毛城と呼ばれる。

真理大学へ通じる坂道
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高台から淡水河河口を望む
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雨に濡れた赤い花はデイゴ?
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 淡水はスペイン、オランダの要塞やイギリス領事館が置かれたため、台湾におけるキリスト教布教の拠点にもなった。
 真理大学の元となった牛津(オックスフォード)学堂はカナダ出身の宣教師ジョージ・L・マッカイ(台湾名・馬偕)によって1871年に築かれ、キャンパス内に現存している。

真理大学の牛津学堂
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明治42年(1909)に建てられた牧師楼
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飾りレンガの塀が続く馬偕邸脇の路地
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 肝腎の紅毛城は見学できるのだが、17時半を回り札止めになっていた。なんたる不手際。いずれ再訪を期したい。

紅毛城には入れず…
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 連絡があり、フェリーターミナル附近でまりんさんと合流。駅に戻ってRさんと落ち合った。
 3人で街に出て、現代的な店で食事をご馳走になる。店自体は古くからあるというが、近年建て替えたそうだ。

夕食は排骨飯
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 食後は夜の街歩き。先ほどの一人散策と重なる部分もあったが、土地のことに詳しい人と一緒だと見方が変わる。日が暮れてからも蒸し暑いままで、座っていると蚊に刺される。

1796年に創建され、航海の守護神である媽祖を祀る福佑宮
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1879年に馬偕が開いた旧滬尾偕医院
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昭和8年(1933)に築かれた淡水礼拝堂
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榕樹(※)街。巨樹が覆いかぶさり、木根が下がったしっとりした道
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※榕樹はガジュマルの意

対岸に八里の夜景
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 Rさんと別れ、淡水駅20時頃の捷運電車に乗る。始発だというのに結構な混雑で、隣りと向かいに分かれて座った欧米人が騒がしい。捷運の座席はプラスチックむき出しで、30分も座っていると尻が痛くなってくる。座席にはモケットがあった方が良い。

 きょうは捷運に4回乗車し、ICカード運賃で104元(約385円)分使った。淡水への往復72元などは高額な方だが、一日乗車券(150元)のモトは取れない。あえて買わなかったのは正解だった。

 駅からホテルに戻る途中、また全家(ファミリーマート)に立ち寄ってビールを買う。まりんさんに訊くと、「(痛くて)とても飲めんわ」とのこと。Rさんがお酒を飲まない方だとあらかじめ聞いていたため、淡水では自重したのだと理解していたのだが、そうではなかったようだ。この方が酒も飲めないというのは余程のことである。ようやく私も事態の重大さを理解した。

ホテルで一人飲み。台湾啤酒CLASSICとマンゴービール
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 まりんさんは匆々に寝てしまったので、私はバスタブに湯を溜めて長湯する。そして、啤酒を飲みながら地図や時刻表を眺める。
明日は私の楽しみの一つであるテツ旅になるが、どうなることか。

次の記事 台鉄で瑞芳へ、バスで九份へ
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