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和田岬線沿線を歩く (青春18きっぷでめぐる冬の関西1)

旅行日:平成29年12月(18~)19・20日①

 例年12月は仕事が忙しくて疲労しがちなので,少しだけ落ち着く中旬に年休を入れておいた。近場の温泉にでも行く積りでいたのだが,普段の休みと併せて4連休になっていた。これならお疲れ休みも取れるので,関西地方にまで足を延ばすことにした。紀伊や丹後には行けども,畿内には久しく行っていなかった。

関西2017


 旅立ちは横浜駅東口バスターミナルから夜行バスのVIPライナー。オフシーズンだからか二日前に予約しても5,300円と安かった。窓側座席だったが,カーテンがガッチリしており,車窓は一切見られなかった。
 定刻5:55に京都のラウンジ前に到着。VIPライナーは一部の都市にあるラウンジで朝の身支度を整えられるのが良い。

 まだ暗い街を歩き,京都駅へ。きょうから明日の夜に帰るまでの二日間は青春18きっぷで行動することになる。
 最初の目的地を神戸市の兵庫に決め,6:30発の快速網干ゆきに乗車する。新快速は京都6:44発までない。

まだ暗い京都駅からスタート
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 日中以降の快速は高槻まで各駅に停まるが,朝ラッシュ時は長岡京以外の駅を通過する。桂川を渡りながら朝焼けを見る。大阪ではすっかり明るくなったが,曇りがちだ。神戸で東海道線から山陽線に移り,7:44に兵庫で降りた時には小雨が降っていた。同じ冬の太平洋側でも,関西では関東のように毎日はすっきり晴れないらしい。
 兵庫駅は高架駅だが,神戸市街の灘・鷹取間は昭和6年(1931)と早くに高架化されたため,設備に歴史を感じる。

兵庫駅ホーム。上屋や架線を支える支柱がクラシカル
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重厚な階段周りの意匠
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 兵庫駅で降りたのは和田岬線に乗るためであった。この線は山陽線の支線であるが,終点の駅名にちなんで和田岬線と通称されている。もっとも,2.7キロと短い路線で,駅は兵庫と和田岬の二駅しかない。
 和田岬線の乗り場は高架の本線よりも一段低い築堤上にあり,高架ホームと改札口の間のフロアにある。乗り換え通路の途中には改札口があり,和田岬駅の改札も兼ねている。つまり,和田岬への客の切符はここで回収され,和田岬からの客はここで切符を買うことになる。

兵庫駅の和田岬線乗り場は中二階にある
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和田岬線乗り換えの改札IMG_9057_201712262301594de.jpg
(写真は列車が運転されない時間帯に撮影したため,改札機がすべて閉じている)


 和田岬線の列車はラッシュ時にしか運転されない。平日だと朝7時から9時過ぎまでに7往復,17時過ぎから22時過ぎまでに10往復の列車が設定されている。
 7:52に朝の3往復目の列車が返ってきた。電車は数少なったスカイブルーの103系,6両連結。下車客はまばらだが,ホーム上には長い列ができていて本線の列車が着くとさらに客が押し寄せてくる。

 写真を撮る余裕もなく,7:57に発車。工場と住宅地が入り混じったところを走り,4分で和田岬に着いた。
 驚いたのは終着駅に着いたのに客がなかなか降りないことだ。私は最初,彼らは出勤時間までに間があるために兵庫まで往復して時間を潰すのかと思った。が,6分間の折り返し時間中に三々五々下車していき,ほとんど空の列車が発車していった。

終点和田岬に到着。少しずつ下車する人と,まだ車内に残っている人たち
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兵庫ゆきが出発し,ようやくすっきりしたホーム
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兵庫方。出発信号機すらない
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 私が和田岬線に乗るのは二度目で,最初は10年前の震災忌(1月17日)の日であった。あの時はまだホームの先に駅舎があったように思うが,今はそれもなくなってコンビニができていた。
 道路を隔てた向こうは三菱重工の神戸造船所と三菱電機の工場で,そこの通勤客が和田岬線のお得意様だ。いまの列車を降りた人たちだけでなく,道路の下の地下鉄駅からも大勢の通勤客が吸い込まれてゆく。地下鉄も三ノ宮や神戸,新長田でJRに接続するが,一見不便そうな和田岬線の利用者が多いのは,JRの方が定期券代の面で有利だからだろう。

線路の終端と簡素な駅
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道路の向こうは三菱の工場
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 和田岬線の歴史は古く,山陽鉄道によって明治23年(1890)に開通した。山陽鉄道は現在の山陽線を開通させた鉄道会社であり,この時点では本線が神戸から竜野(仮駅,兵庫県たつの市)まで開通していた。和田岬線は竜野からさらに西へと延伸するための資材運搬用の貨物線用支線という位置づけであった。なお,当時の駅名は和田崎町駅。
 明治38年には終点附近に神戸三菱造船所が開設され,旅客輸送は明治44年に開始されている。

 開通当時の和田岬駅は道路の先,現在よりもさらに700メートルほど奥に位置していた。現在地への移転は昭和20年とされる。おそらく,旅客列車がいちいち道路を跨ぐのは不都合があったのだろう。駅移転後も専用線は道路の向こうまで続いていた。

地形図に見る戦前戦後の和田岬駅
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(地形図は2.5万分1「神戸南部」,左:昭和7年修正・11年発行,右:昭和45年修正・47年発行。「今昔マップ on the web」[(C)谷 謙二]により作成させていただいた)

 臨港地帯を歩くのは好きなので,今回は兵庫駅まで歩いて戻ることにする。
 和田岬駅の西側には大きな神戸百年記念病院がある。この病院は旧鐘紡記念病院で,明治29年に開設された鐘淵紡績兵庫工場の敷地内にあった。兵庫工場は太平洋戦争中の神戸空襲で被災し,現在は御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸)になっている。
 神戸空襲前は和田岬線にも鐘紡前という駅があったのだが,戦災によって休止となり,昭和37年に廃止された。

旧鐘紡前駅跡と思しきスペースが残る踏切にて
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 その北側には兵庫運河が通る。和田岬は天然の防波堤となって兵庫津を良港にしていたが,同時にその沖は航海の難所でもあった。兵庫運河は和田岬を回ることなく,大阪湾と兵庫津の通航を可能とさせるもので,明治4年に着工し,同32年に完成した。
 この運河を和田岬線も跨ぎ越しているが,高さのある船が航行することを想定してか可動橋になっている。
 可動橋には開閉橋(跳ね橋)が多いが,この橋は珍しい旋回橋だ。長さは15.5メートル,径間は7.7メートルしかないため,幅の広い船は通航できない。もっとも,昭和23年にその機能を停止し,現在は回転機構自体が取り外されているそうだ。

兵庫運河に架かる和田旋回橋
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中央の橋脚にガーダー橋が載ったかつての回転部分
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 旋回橋の脇には小公園が設けられていたが,朝のためか入れなかった。そこからは間近に眺められそうなのだが…。
 また,並行して道路橋の材木橋が架かっているので,やや離れたところからは眺めることができる。レンガと石造りの橋台と橋脚は味わいがあり,スカイブルーの電車とも調和する。

和田旋回橋を渡る兵庫ゆき
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同じく和田岬ゆき
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材木橋の西側は戦後に造られた貯木場
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 兵庫運河の北側は川崎重工の鉄道車輌工場である川崎重工業車両カンパニー。川崎造船所の一部門として明治40年に開設された。
 工場の中央部を道路が貫通しており,工場内の線路と交差する。その場所からは納入前の様々な車輌が眺められた。新幹線や京急,西武,JR四国,神戸電鉄,大阪市交など。異なる地域の車輌が並んでいる光景を見られるのは工場ならではだろう。搬器などの往来が激しくて写真は撮らなかったが…。
 運河の支線の向こう側に建つビルの前には,東海道線の特急「こだま」などの151(181)系電車と,0系新幹線の先頭車が並んで保存されていた。

工場沿いにレンガ壁が残る
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川崎重工前の特急と新幹線の「こだま」
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 国道2号バイパスの辺りで和田岬線の線路沿いに戻る。
 川崎重工の専用線が合流すると,和田岬線は大きくカーブしながら緩やかな坂を登り,兵庫駅に入って行く。明治44年から昭和59年までは神戸市場貨物駅と兵庫港貨物駅への貨物線が並行して延びていたため,単線の線路際は敷地が広くなっている。
 やがて兵庫9:10発の和田岬ゆき電車が出てきた。この電車が兵庫駅に戻ると,8時間ほど列車の運転はなくなる。

兵庫駅附近は多線だった名残で線路敷地が広い
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朝の“最終”和田岬ゆき
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 兵庫は港町であるから駅のオモテは海側だろうと思っていたが,そうではなかった。西国街道が通る山側が市街地であり,かつて駅の海側には貨物設備が広がっていたようだ。
 現在は国道2号との間が再開発され,大規模なマンションが建っている。国道沿いで遅い朝食。

次の記事 姫路城に登城する(前)
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