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真夏の東関東ドライブ―笠森観音,成東・東金の食虫植物群落,霞ケ浦

旅行日:平成29年7月28日

 梅雨明け以来の猛暑が緩んだので,東関東の平野部に行ってきた。夏は涼しい山の方ばかりを指向し,関東地方の低地は冬に訪れてばかりだ。枯草の景色ばかりでは,この地域の印象は寒々としたものになってしまう。


 6:25に出発して,本村ICから保土ケ谷バイパスへ。冬に二度千葉県に行った際には上川井ICの渋滞で時間をロスしているので,今回は別ルートを採ってみた。本村ICまでの所要時間は1時間から35分に短縮できて,まずは成功。その先で流れが悪いのは仕方がないだろう。
 湾岸からアクアラインに回り,木更津金田ICで流出。朝8時ながらも道が空いていてありがたい。国道409号で峠を越え,市原市の牛久経由で長南町の笠森観音へ。国内唯一の四方懸造りの観音堂があるところだ。

砂岩を切り開いた駐車場から境内への道
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湿っぽい森を抜けると細い道路と合流して二天門へ
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 笠森観音は天台宗の寺院で,正式名称は笠森寺という。延暦3年(784)に最澄が開基したとされる(※)。
 観音堂は長元元年(1028)に後一条天皇の勅願で建立されたが,その後の火災で焼失した。現在のものは慶長2年(1597)に再建された。それでも相当に古く,重要文化財指定を受けている。

※最澄の生まれは神護慶雲元年(767)とされ,東大寺で具足戒を受けたのが延暦4年なので,ちょっと若すぎるような感じがする

 懸造りの建物と云えば,京都の清水寺や鳥取県の投入堂に代表されるが,それらは崖から迫り出すように建てられたものである。笠森観音の観音堂は突き立った岩峰の上に建てられており,四方向がすべて舞台状に造られているという点で特異なのだ。

正面から眺めた観音堂
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四方懸造りの特異は側面から見るとよく判る
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 寺の周辺は古くから木々の伐採が禁止されており,「笠森寺自然林」として天然記念物指定を受けている。密度の濃い森には高木も多いため,観音堂からの眺望はそれほど開けない。

観音堂からは房総半島らしい密度の濃い森を望む
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境内に咲く色鮮やかなムクゲ(たぶん…)の花
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山の麓に位置する笠森寺の本坊
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 きょうの目的地は房総半島ではないので,ここからは北上してゆく。
 長柄町の長柄ダムと東金市の東金ダムに寄り,大網白里市内の水資源機構の事務所でダムカードを入手。
 配置が悪く,長柄町→市原市→千葉市緑区→八街市→東金市→大網白里市とウロウロ。あまりクルマで走ったことのないエリアなので興味深かったが,千葉市近郊なので交通量は多かった。

 九十九里平野を北上して一旦東金市から山武市に入り,両市に跨る「成東・東金食虫植物群落」を訪れる。何年か前に地図を眺めているときに見つけて以来気になっていた場所だ。
 山武市側の島という集落の中を抜けているので,道順は複雑だ。曲がり角に逐一看板が立っていて助かった。
 「成東・東金食虫植物群落」は約3.2ヘクタールが国の天然記念物に指定されている。大正9年(1920)に指定された天然記念物の第一期生である。ちなみに,当初は「成東町肉食植物産地」という名称だった。「肉食植物」と「食虫植物」では文字から受ける印象がだいぶ違う。

群落の周辺に広がる湿地帯
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 九十九里平野は海岸線に並行して砂丘と湿地が交互に並んでいる。湿地帯は砂丘からの湧水がある一方,その砂丘に阻まれて排水性が悪い。土壌は砂質で地下水位が高く,栄養分に乏しいという。食虫植物は土壌から得られる養分が少ない場所で,虫から栄養分を補っていると考えられているので,こういう環境で健気に生きているのだろう。
 「成東・東金食虫植物群落を守る会」の管理棟があり,駐在の方がいらしたので,湿地帯に造られた木道を案内していただいた。草叢に生えた食虫植物は思ったよりも小さく,私一人だったらほとんど見落としてしまっただろう。ここでは千葉県に棲息する10種類の食虫植物のうち,8種類が見られるとのこと。
 食虫植物といっても,ハエトリグサやウツボカズラのような虫を捕る様子が“わかりやすい”植物は日本に分布しないのだ。まだ見た目でわかるのは,モウセンゴケやイシモチソウのような粘液で虫を粘り付けるタイプのものだ。ミミカキグサのように地下茎に虫を捕える器官があるヤツは,もはや見た目では判らない。

地面に張り付いたようなコモウセンゴケ
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無数の腺毛から粘液を出しているナガバノイシモチソウ
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 現在の食虫植物群落は「守る会」の方々の活動によって維持されている。天然記念物指定範囲の一部は戦中・戦後に耕地化され,近年復元が進められている。ヨシのような背の高い植物は小さな植物への日光を遮ってしまうし,心無い人による盗掘もあるらしい。
 また,土地改良によって沼田が乾田化したことも湿地帯を好む食虫植物にとっては悪いことだそうだ。沼田は年中水の入っている田んぼ(かつては地図記号が分かれていた)のことだが,現在は収穫期に水を抜けるようになった。農作業にとっては好ましいことだが,田んぼに水がなくなると地下水位が下がってしまう。
 群落内では食虫植物以外にも様々な植物が見られた。

湿地帯を彩るコオニユリ
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やや早咲きだというカワラナデシコ
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周辺に広がる水田地帯
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 成東からはJR総武線に沿った県道76号で八街へ,そして下総台地に上がって県道277号を佐倉へ。水田が細長く続く谷津と,畑地が広がる台地上の対比が面白い。佐倉市街で渋滞。
 京成線の細い踏切を渡り,印旛沼の畔にある佐倉ふるさと公園へ。ヒマワリが見られるはずだったが,今季はもう終了とのこと。重機が入って更地にされていた。管理施設で西印旛沼のダムカードを貰う。

印旛沼と広場のシンボルであるオランダ風車
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 台地を横切り,西沼畔の双子公園へ。一直線に延びる道の片側が印旛沼で,もう片側が水田地帯になっている。印旛沼は台地と台地の間の細長い湖沼であったが,戦後に中央部が干拓されて水田に変わった。

印旛沼干拓地の宏大な水田
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頭を垂れる前の稲穂
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 高規格な北千葉道路を少しだけ利用し,北印旛沼へ。こちらにもダムカードがある筈だが,配布施設がなんと臨時休業日。
 安食で利根川に出て,堤防国道を滑河まで走る。常総大橋を渡って茨城県に入る。

 次に目指すのは霞ケ浦に面した稲敷市の浮島。かつて霞ケ浦の島だった場所だ。本土との間は狭く,野田奈川(桜川)という川によって隔てられていた。霞ケ浦に始まって霞ケ浦に終わる川とは一体…?
 野田奈川は干拓されて,干拓地の水路となり,浮島は陸続きになっている。
 浮島の東の端だったのが妙岐ノ鼻。人工的な地形改変の著しい霞ケ浦にあって自然を残しており,野鳥の観察地となっている。

霞ケ浦に突き出した妙岐ノ鼻の葦原
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 比較的往時の湖岸線を残す浮島の北側を進む。湖岸線の位置こそ変わらずとも,湖岸はコンクリートで固められ,堤防が築かれている。堤防上の道路は狭く,対向車との擦れ違いはスリリングだ。
 浮島をはじめとした霞ケ浦周辺の特産品はレンコン。今はその花の時季だ。

和田岬にて。波立つ霞ケ浦
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大きな葉を広げたハス
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夕陽を映す蓮田の間の池
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 台地に上がって阿見町へ。セイコーマートに寄る。
 時刻は18時過ぎ。このまま行くと都心部にかけて渋滞に巻き込まれるのは必定である。時間調整のため,圏央道つくば牛久IC近くのイオンモールつくばへ。超巨大なイオンは神奈川県にないものなので,結構楽しめる。

 イオンモールを出発したのが20時半。牛久で国道6号に出て,東京方面に向かう。柏市内で工事渋滞があった以外は順調で,丁度22時に環七交点の青砥陸橋をくぐった。普段なら環七を回るところだが,経験としてナビが示す都心ルートの時間を採りたくなった。
 言問橋から浅草を走るうち,タクシーが増えてきた。大手町辺りからはタクシーだらけになる。きょうが金曜日であることをすっかり忘れていた。都心部は車線が非常に多く,右左折を繰り返す。普段は無視してばかりのカーナビ頼りになる。渋谷で22時を回る。
 渋谷から三軒茶屋にかけては渋滞が凄まじく,上馬まで25分を要す。随所で工事による車線規制が敷かれており,それを避けるクルマのマナーの悪さが流れを一層悪くしていた。
 瀬田陸橋からはようやく気持ちよく走り,0時半頃に帰着。走行距離は419.3キロであった。
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