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風蓮湖と春国岱(2017夏の北海道旅行6)

旅行日:平成29年7月3~6日⑥

最初の記事 【南千歳→釧路】特急「スーパーおおぞら5号」
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 夏の北海道旅行第二日目15時過ぎ。別海町の国道244号万年橋に立つ。
 下を流れるのはヤウシュベツ川。この辺りの河川には,もはや漢字が宛てられていないものが多い。ヤウシュベツ川は間もなく風蓮湖に達するので,ほとんど流れずに雲をぼんやりと映している。

幅広く空を映すヤウシュベツ川
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湿原の中を緩やかに蛇行して風蓮湖へと流れ込む
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 国道243号に合流する奥行臼には駅逓所の建物が残っている。が,修復工事中であった。
 駅逓所は明治期の交通未発達の北海道において,ウマの継ぎ立てや宿泊業を担う半官半民の施設であった。制度自体は昭和21年(1946)まで続いたが,この奥行臼駅逓は昭和5年に廃止されている。大正14年に国鉄厚床駅と中標津を結ぶ拓殖軌道が開通し,昭和8年には国鉄標津線が開通して近代的な交通機関が到達したからだろう。
 役割を奪った標津線も廃止になり,奥行臼駅跡が近くにある筈だが気が付かなかった。

 再び根釧台地上に上がり,厚床で国道44号に合流。この国道は釧路と根室を結ぶ主要道路であるので,交通量が多い。こういう道は運転していてもあまり楽しくない。
 風蓮湖を見下ろす高台に立地する道の駅「スワン44ねむろ」で小休止。
 風蓮湖は面積59平方キロメートルで,国内で13番目に大きい。砂洲の堆積によって生じた潟湖である。細長いカタチをしている上,中央部に根釧台地の突き出している部分があり,その大きさは捉えにくい。

湖の規模の大きさを実感しづらい眺望
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湖畔の散策路にて
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 もう少し進むと,湖とオホーツク海を隔てている砂洲の付け根に達する。南側の砂洲は長さ8キロにおよび,春国岱と呼ばれている。音読みで「シュンコクタイ」だと勘違いしていたが,音訓交じりで「シュンくにタイ」と読むことを後で知った。
 知らなければ読めない地名は,アイヌ語のsunku(エゾマツ)ni-tay(林)から来ているそうだ。

 入り口の春国岱橋を渡ったところまではクルマで入ることができて,その先は木道が整備されている。外海側は防波堤が続いているのであまり良い景色とは言えない。

春国岱に整備された木道
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 木道は水際の砂地の上を通る。水部を挟んで湿原の向こうに森が見えている。この水部を風蓮湖の本体と間違えそうだが,これらは三列に大別できる砂丘の間にできた水溜まりにすぎない。風蓮湖はあの森の向こうであって,非常に規模が大きいのだ。
 湖に繋がる水は澄んでいて,橋の上からは水底に大きなヒトデが潜んでいるのが見えたりした。

砂洲の列の間にできた水路の向こうに森が見える
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水路に架かる橋の上から。防波堤の向こうが根室湾
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水際から森へと少しずつ変化してゆく植物群
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 木道を進むと,立ち枯れした木々の中で草を食むエゾシカ数頭を見つけた。
 彼らまではだいぶ距離があり,こちらの存在には気付いているようだが,警戒する風でもない。少し顔を上げてくれると嬉しいな,などと思っていると,後からやって来た親子連れの幼い女の子がシカに気付いて無邪気な声を上げた。

立ち枯れした木々の中でエサを食べるエゾシカ
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女の子のおかげでこっちを向いてくれた
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 立ち枯れした木々の後ろは森になっている。地名の由来にもなっている貴重な砂地のアカエゾマツの森であるが,そこに到る木道は無残に破壊されていた。高潮による被害とのこと。

高潮で破壊された木道
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立ち枯れした木々と壊れた木道が物悲しい
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遠くまで続くコケのマット
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 クルマに戻り,国道44号の温根沼大橋を渡ると根室の街が近づく。ちょっと晴れ間が出てきた。
 海を見下ろす段丘の上で停まると,水平線の上に薄っすらとだが山並みが見える。方角からすると,知床連山ではなく国後島のようだ。

温根沼の入り口に架かる温根沼大橋
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夕陽が照らす水平線の上には薄っすらと国後の山並みが…
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 給油を済ませ,18時十数分前にレンタカーを返却。走行距離は241キロ,平均燃費は21.9キロであった。新型車の割に燃費が伸びなかったのは,4WD車だったからかもしれない。

 釧路へ戻る列車が出るまではあと1時間ほどある。少し街中をブラブラして,イオンとセイコーマートでお酒などを購入。所要2時間半の夜汽車に備える。

根室も北海道らしい段丘の街。ズレた基線によって生じたY字路
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市内に見られるロシア語の看板。「厚床」はローマ字と同じらしい
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 駅に戻ると列車が着いたところだった。待合室でやつるぎ君と落ち合う。

 彼は昨日の私よりも1時間早い便で成田空港を発ち,新千歳空港に降り立った。一旦札幌まで出たのち特急「スーパーおおぞら5号」で釧路に到り,21分の乗り継ぎで根室までやって来た。根室駅滞在は僅か12分。計画段階では私がレンタカーで根室中標津空港まで迎えに行くことも提案したのだが,彼は根室観光よりも列車に乗ることを選んだのだ。
 根室発の上り列車は今から乗る19:01発が最終だ。この前は16:09発だから,部活動の高校生や通勤客の帰宅列車と考えられる。ただ,朝のラッシュが可愛いものであったから,焦る必要はない。
 案の定,ボックス席を占めることができた。

根室から釧路へ戻るディーゼルカー
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 列車で来たやつるぎ君は,厚岸駅駅弁の氏家かきめしを購入してきてくれた。予約しておくと列車発着時にホームまで届けに来てくれるのだそうだ。
 東根室を出発して車内が落ち着いたところで,私が買ってきたサッポロクラシックで乾杯。やつるぎ君は本日3つ目の駅弁だと言う。厚岸駅では駅弁と一緒にホタテおにぎり買い,それも食べたらしい。

夕食はかきめしにサッポロクラシックを添えて
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 根室駅の時点で夕陽が沈むところだったので,しばらくは車窓も見えていた。暗くなるとエゾシカの活動が活発になるらしく,列車は度々急ブレーキをかけた。そして,別当賀と初田牛の間で何度目かの急ブレーキがかかったとき,台車の辺りから鈍い音がした。
 運転士は暗闇の中,懐中電灯一つで点検に向かった。ワンマン運転のため,何かが起きても一人で対応せねばならないから大変だ。
 幸い,短い時間で運転再開に漕ぎ付けた。この間,隣りのボックスの女の子は参考書か何かに目を落としたままであったから,珍しいことではないのだろう。

 20:44発の厚岸を前にお酒を飲み切ってしまうと,あと1時間することがない。闇の中で退屈し,21:38に釧路に着いた。
 朝が早かったので,ホテルに入るとそのままそれぞれの部屋に落ち着いた。

次の記事 【釧路→網走】釧網線快速「しれとこ」
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