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エゾカンゾウ,ワタスゲ―花盛りの湯沸岬と霧多布湿原(2017夏の北海道旅行5)

旅行日:平成29年7月3~6日⑤

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 海霧にけぶる太平洋を見ながら,北太平洋シーサイドライン(道道142号)を根室市から浜中町へと走ってきた。
 海蝕崖が尽きると,前方に長く突き出した島状の半島が見えてきた。霧多布だ。左手に太平洋,右手には湿原が広がり,その“島”に向かって砂洲の上に道が延びる。湿原はかつて潟湖だったのだろうが,今は湿地の中に細長い沼が点在している。

 霧多布は陸繋島だ。北側の浜中湾と南側の琵琶施湾を船で行き来する水路があり,その上に架けられた霧多布大橋を渡った先に市街地が形成されている。昭和35年(1960)のチリ地震の際には両側から津波に襲われ,陸繋砂州の部分も細くなってしまったという。
 北海道らしいゆったりとした街並みを抜け,坂を登る。先端部に近い展望台まで行くと,湯沸(とうふつ)岬(霧多布岬)を望むことができる。

展望台から望む湯沸岬の先端部
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 それにしても,「霧多布」という当て字は絶妙だ。霧がかかっていても仕方ないかなというよりも,霧が出ていてこその霧多布だという気持ちにさせる。
 元々のアイヌ語はki(茅)-i(を)-ta(採る)-p(接尾語)で,江戸時代は「キータプ」と呼ばれていたらしい。

 岬の先っぽには赤白に塗られた湯沸岬灯台が建つ。下方の岩礁はアザラシの棲息地というが,姿は見られなかった。

草に覆われた斜面にはエゾカンゾウやノハナショウブがびっしりと咲いている
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黄色と紫色の花が斜面を埋める
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 街に戻り,今度は琵琶瀬湾側へと進む。内陸側は霧多布湿原の核心部だ。霧多布湿原は道内で五指(ということは国内で五指)に入る宏大な面積に広がる湿原である。
 湿原もその状態によっていくつかに区分されるが,ここでは水の流入がある低層湿原,季節・天候的に水の流入がある高層湿原,その中間の中間湿原,さらに河川河口部の塩性湿原がある。そのため,多種多様な生物・植物が見られるという。
 しばらく走るうち,草地が黄色と白に染まっているのを見つけてクルマを停めた。

 道路と湿原を隔てる木柵に近づいてみると,黄色がエゾカンゾウで,白はワタスゲであった。もう少しすると湯沸岬に咲いていたノハナショウブも咲き出して,湿原の色を変えるという。

エゾカンゾウとワタスゲが埋める湿原
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オブジェのようなカタチをした扁形樹
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風に揺れるワタスゲの実
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 道路は琵琶瀬川の河口に架かる橋を渡ると,急な坂になる。山の上には琵琶瀬展望台があって,霧多布湿原や霧多布市街,そして太平洋を一望できる。
 高いところから見はるかすと,この湿原は周囲に人家が多く,生活に近い印象を受ける。貴重な自然が安易に失われることのないように,霧多布湿原ナショナルトラストが開発の可能性が高い土地を買収して保全する活動を行っているそうだ。

琵琶瀬展望台から湿原,街,海を一望にする
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湿原の中をダイナミックに蛇行する琵琶瀬川
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遠くからでも黄色く見えるエゾカンゾウの群生地
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 引き返し,霧多布湿原を貫くMGロードを走る。「MG」とはMarshy Grassland(湿原)の略らしいのだが,ちょっと伝わりづらい名称だ。
 左手は水気の多い低層湿原,右手はワタスゲの実で白く見える高層湿原であった。

一面のワタスゲの実
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低層湿原らしい沼沢地も
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 そのまま内陸部に入り,茶内で国道44号に出る。店などなさそうな地域なので,セイコーマートで軽く昼食を摂る。
 牧草地が広がる中を走り,浜中から道道123号を中標津方面へ。風蓮川を渡ると別海町だ。牧草地が広がるたおやかな根釧台地を刻む河川沿いは一様に湿地になっている。

 別海町では市街地南方にある新酪農村展望台に寄り道。櫓状の展望台からはどこまでも牧草地が続いた。
 新酪農村は1戸あたり50ヘクタールという酪農の大規模経営を目標に,昭和48年に開始された。作業の大部分を機械化した一通りの施設を揃えて売り出され,昭和58年に222戸が入植したという。根釧台地では太平洋がもたらす霧が牧草にミネラルを与え,良質な乳牛を育むのだそうだ。
 なお,別海町のホームページには「牛の数」というページがあり,根室振興局の調査に基づいたデータが毎年更新される。平成28年2月現在では108,456頭で,その大部分を乳牛が占める。なお,人口は約1.5万なので,圧倒的にウシの方が多い。

無骨な造りの新酪農村展望台
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たおやかな丘陵に牧草地が広がる
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 別海市街の方へは行かず,細い農道を東へ。どこもかしこも道が広すぎるため,普通の2車線幅が狭く感じる。舗装工事中のところがあり,砂埃を舞い上げた。たちまちリアウインドが砂まみれになる。牧草地に白黒がチラリと見えたが,タンチョウであった。
 ウシの写真も撮っておきたいなとクルマを停める。こちらに気付くと,のっそりとながらも集まって来るのでなかなか迫力がある。

牧草ロール
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乳牛が集まってきた
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 国道244号に突き当たると,風蓮湖が近い。
次の記事 風蓮湖と春国岱
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