Entries

弘前の古い街並みと建物を見て回る(2) 市役所周辺,藤田記念館

旅行日:平成29年5月(30~)31日~6月2日④

最初の記事 旅立ち津軽へ
前の記事 弘前の古い街並みと建物を見て回る(1) 仲町重伝建地区,青銀記念館など
 弘前城址(弘前公園)から仲町重伝建地区,元寺町,元長町あたりの古い建物を見て回り,追手門近くに戻ってきた。追手門前は市役所をはじめ,裁判所や税務署,図書館などが集まる官庁街になっている。

 上白銀町の追手門広場には二つの洋館が保存されている。
 一つは旧東奥義塾外人教師館。東奥義塾は寛政8年(1796)創立の藩校稽古館を前身とする。藩校は廃藩置県で廃止されたが,最後の藩主津軽承昭により支援が続けられた。その後,慶應義塾に留学していた旧藩士の菊池九郎によって,学制の施行された明治5年(1872)に東奥義塾として甦った。慶應義塾にならって洋学を重んじ,多くの外国人教師を招聘した。現在は東奥義塾高校で,市南部に移っている。
 教師館は3度焼け,現在の建物は明治33年に再建された。設計は青銀記念館と同じ堀江佐吉。
 
旧東奥義塾外人教師館
IMG_5667_201706121850320db.jpg

調度品を含めて再現された室内の様子
IMG_5661_20170612185032c4b.jpg

 もう一つは旧弘前市立図書館。
 こちらも堀江佐吉の設計で,明治39年に日露戦争の戦勝を記念して建てられた。両側に塔屋を配した背の高い建物で,柱や梁を緑色に塗ったデザインは隣りの教師館と共通する。

旧弘前市立図書館
IMG_5673_201706121901029d8.jpg

 追手門広場には弘前市街の近代の建築物が10分1サイズのミニチュア模型となって並べられている。ここまで歩いてきて,弘前は近代建築の多く残る街だと思ったけれど,失われた建物も多いことを知る。

建築物のミニチュアで作った街並み。手前は青銀記念館
IMG_5668.jpg

 道路を隔てて弘前市役所。市庁舎は前川國男が設計したモダニズム建築。前川氏は新潟県の出身であるが,その母が弘前藩士の家の生まれだった関係で,弘前市内には前川建築が多く残されている。
 昭和33年(1958)築の戦後の建物であるが,国登録有形文化財に指定されている。

弘前市庁舎 (国登録)
IMG_5682.jpg

 市役所の隣りはドーマー窓が可愛らしい旧第八師団長官舎。陸軍第八師団は明治30年に弘前市に置かれ,この官舎は大正6年(1917)の建築。戦後は弘前市長官舎として使用された。
 余談になるが,明治35年に八甲田雪中行軍遭難事件を起こしたのはこの師団である。隷下の青森の歩兵第5聯隊が悪天候の八甲田山中で遭難し,訓練参加者210名中199名が死亡した。一方,擦れ違う形の行軍を行った弘前の歩兵第31聯隊は38名の少数精鋭体制を取り,凍傷に罹って列車で戻った1名以外は無事に戻った。
 小ぶりな建物を生かして,現在はスターバックスコーヒーが入居している。

旧第八師団長官舎
IMG_5683.jpg

 市役所の西で,道は下り坂になる。ここが台地と岩木川の低地の境界で,岩木山が霞んで見える。
 台地の縁には藤田記念庭園。実業家藤田謙一氏の別邸だったところである。ここは是非とも見学したいので,大きな門をくぐる。左手に和館,右手に洋館が建っているが,まずは洋館内の「大正浪漫喫茶室」で一息つく。塔屋を配し,玄関前の屋根が長くのびた面白い建物だ。
 庭を眺める大きな窓の部屋にテーブルとイスが並び,何組かの先客がいた。いくつかの店のアップルパイが用意されており,ドリンクとのセットメニューもある。私はタムラファームのアップルパイにアイスコーヒーをつけた。

旧藤田家別邸洋館 (国登録)
IMG_5692.jpg

アップルパイとアイスコーヒーでおやつ
IMG_5688.jpg

 藤田謙一氏は弘前の生まれ。上京して明治法律学校(現在の明治大学)を出たのち,様々な会社の代表や取締役を務めた。さらに東京商工会議所頭取を経て,初代日本商工会議所頭取に就くなど日本を代表する財界人となった。
 藤田氏がこの地に別邸を構えたのは大正8年(1917)のこと。その死後はみちのく銀行倶楽部を経て,平成3年から市が公開している。
 洋館の設計を手掛けた堀江金蔵は堀江佐吉の六男である。

庭から眺めた洋館
IMG_5702.jpg

 洋館より奥は有料エリア。弘前城・植物園との3施設共通券(510円)を買ってきたものの,時間的に植物園には行かれそうもない。2施設でもモトが取れる価格設定になっているが。
 受付の脇に建つレンガ造りの倉庫は考古館。市内から出土した土器などを展示しているらしいが,現在は休館中。建物自体は藤田氏による岩木山麓開発事業の事務所として建てられた。

レンガ造り倉庫 (国登録)
IMG_5700.jpg

 和館は書院造で,非常に面積が広い。天井の高い部屋は廊下から見学できる。

和館
IMG_5693_201706121908260f1.jpg

古いいびつなガラスが廊下に影を落とす
IMG_5699.jpg

和館と洋館を並べて
IMG_5713_20170612192327006.jpg

 和館・洋館のある高台だけでもかなりの広さがあるが,敷地は台地の下にまで広がる。そのため庭園は宏大で,その広さは東北地方で二番目だという。一番は平泉の毛越寺庭園だから,そもそも比較対象がすごい。
 高台部は岩木山を借景にした庭園,低地部は池泉回遊式庭園と趣きが異なる。上下で約13メートルの比高があり,その高さを生かした人工滝まで造ってある。

台地の縁を生かした人工滝
IMG_5703_2017061219082555c.jpg

池泉の中心をなす大きな池
IMG_5708_20170612190824f13.jpg

池の畔にはアヤメが咲く
IMG_5706.jpg

カエデの新緑
IMG_5711.jpg

鮮やかな八重のヤマブキの花
IMG_5712.jpg

 入ったのと同じ門を出て,さらに南へ歩く。
次の記事 弘前の古い街並みと建物を見て回る(3) 禅林街と長勝寺/弘南大鰐線に乗る
関連記事
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://sagaminomen.blog.fc2.com/tb.php/598-4b16ddfb

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

さがみぃ

Author:さがみぃ
相州生まれの相州育ちです。
このブログと筆者については,水先案内からご覧いただけます。

トップページ

【PC推奨】行先別INDEX

アクセスカウンター

(平成24年8月22日設置)

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる