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青春18きっぷでミニトリップ―新しい吾妻線と川原湯温泉

旅行日:平成29年3月30日

 3月も末となり,いよいよサクラの時季に突入。
 …のはずだったのだが,アテが外れた。東京都心のサクラは3月21日,横浜市でも25日に開花したものの,気温の低い日が続き,一向に咲きそろわなかった。
 サクラ旅は前日の時点で見切りをつけ,それとは関係のないところに行くことにした。


 横浜8:41発の東海道線宇都宮ゆきでスタート。上野東京ラインができて便利になったのだが,湘南新宿ラインや各線の快速運転,さらに東京や上野始発まで含めると,どの列車に乗ってどこで乗り換えるのが適切なのかを把握しづらい。
 私は高崎線に入るのだが,大宮で後続の快速「アーバン」を待つことになった。横浜を9分後,2本(湘南新宿ラインを含めると3本)あとに出る列車である。

 快速なので1時間ちょっとで高崎着。途中で座れたので,時刻表を開いてこの先の行程を検討した。
 きょうは結局,吾妻線に乗ることにした。理由は単純で,関東地方のJR東日本線で唯一の未乗区間があるからだ。丁度19分後に出る長野原草津口ゆきがあるが,1本後のにする。

 改札を出て,展望フロアのある高崎市役所へ。晴れているものの,春らしい霞んだ空で,上毛三山はぼんやりしていた。

浅間山は見えず,榛名山は霞む
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駅方面と関東平野
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駅近くで見つけた豊田屋旅館本館,昭和7年築
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 12:37発の列車に乗る前に昼食を摂っておこうと思ったのだが,春休みということもあって駅ビルの店はどこも混んでいる。
 一計を案じてホームに降り,駅そばのスタンドに立った。ここの先客は一人だけであった。

巨大な天ぷらの入った舞茸そばの昼食
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 ホームを移動し,12:37発の両毛線小山ゆきに乗る。
 上越線と吾妻線の列車は高崎を発着するダイヤになっていたが,今年(平成29年3月4日)のダイヤ改正でその原則が崩れた。上越線の3.5往復,吾妻線の4.5往復が新前橋発着になり,両毛線直通列車と乗り継ぐこととなったのだ。
 小山ゆきは3両連結で,混雑していた。10分ほどで新前橋に着き,6分の接続で万座・鹿沢口ゆきに乗り継ぐ。こちらは4両繋いでおり,ガラガラに空いていた。いずれもオールロングシート。

新前橋駅で両毛線(左)から吾妻線直通(右)に乗り換え
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 上越線を15分ほど走り,渋川からようやく吾妻線に入る。少なかった客は渋川でさらに減った。
 私がこの線に乗るのは二度目で,前回は平成18年の8月に終点の大前まで往復している。終点まで乗っているのに未乗区間があるのは,八ツ場ダムの建設に伴って線路が付け替えられた区間があるためだ。

 列車は利根川支流の吾妻川の谷に入り込む。吾妻線は終点大前までこの川沿いをゆく。
 それにしても列車の振動が大きい。吾妻線は昭和20年1月2日に長野原線として渋川・長野原(現在の長野原草津口)間が貨物専用で開通した。開通した年も日付もすごいが,これは群馬鉄山で採掘される鉄鉱石を輸送する目的を持っていたためである。工事を急いだため,道床が薄いのではないかと邪推する。

 きょうは非常に暖かく,眠くなってくる。居眠りしていると,駅に停車する時のガックンという衝動で起こされる。これは車両自体に何か問題があるのだろう。
 河岸段丘の上に発展した沿線で最も大きな街の中之条,次の群馬原町を過ぎると,俄かに谷が狭まってきた。
 そして,岩島を発車すると,新線区間に突入する。突然走行音が静かになるので,それと判る。ガタンガタンというレールの継ぎ目を拾う大きな音がなくなり,ロングレール+スラブ軌道のゴーーーという音に変わった。
 カーブしながら第二吾妻川橋梁を渡り,八ツ場トンネルに進入する。第二吾妻川橋梁は緩やかにカーブした斜版橋で,延長431メートル。続く八ツ場トンネルは長さ4,582メートルあり,ダムの高さ分上り勾配が続くため,ひたすらモーターの音がトンネルに反響する。旧線では吾妻峡の渓谷が見え隠れしたが,そんなもの望むべくもない。
 ようやくトンネルを抜けたら,すぐに川原湯温泉駅に停車した。ここで途中下車。

新しい川原湯温泉駅
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 標高約600メートルの山峡はさすがにひんやりしていた。近くの山には残雪が見える。駅の周りは開発途中で,道も駅前ロータリーのところで途切れている。僅かな家と牛乳販売店が一軒。
 下車して目指すは共同浴場の「王湯」。次に乗る列車まで1時間5分となっている。

すぐ上方の山肌には雪が…
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 高台移転した川原湯温泉は,駅から県道のトンネルを抜けて行く。王湯は比較的近い位置にあるが,それでも駅から11分ほど掛かった。
 王湯は小さな施設で,入湯料は500円と安い。浴槽もあまり広くなく,シャワーブースも3つしかなかったが,露天もあるのは嬉しい。今はダム建設関連工事の音が騒々しいが,いずれはダム湖を望むようになるのだろう。
 30分ほど浸かり,脱衣所を出た時には列車まで残り15分強。2階の休憩室には入れなかった。

小ぢんまりとした王湯
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高台に移転してきた新しい街と八ツ場大橋
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川原湯温泉駅に通じる道をもう一つ建設中
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 身体はすっかり暖まり,風が吹き抜けるトンネル内も心地良いくらいだった。
 ホームに降りた時には,トンネルに反響する列車の音がだいぶ大きくなってきていた。

ギリギリで列車を写せた
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 川原湯温泉駅を出発した列車は,川原湯トンネルと横壁トンネルを相次いでくぐり抜け,第三吾妻川橋梁を渡る。右手から旧線が合流し,長野原草津口駅に着く。第三吾妻川橋梁は中路アーチ橋で,斜材を減らしたスマートな造りをしている。隣りを通る国道の長野原めがね橋とデザインを競っているかのようだ。
 未乗区間の乗車は完了したので,ここで下車。丁度30分後の15:50発高崎ゆきに乗る。

 長野原草津口駅は名称通り草津温泉の玄関口で,列車とバスの結節点である。かつてはホームと駅舎が跨線橋で連絡していたが,ホームの片側の線路を行き止まりにすることで,ホームから改札までを平面にした。いくらエレベーターを設置したりしたって,この構造にはかなわない。
 駅前にはバスロータリーがあるくらいで,店などはない。吾妻川の向こうにコンビニの看板が見えたので,歩いて行ってみたが,「Xキロ先」という看板であった。
 橋から見下ろす川は,両岸がコンクリートですっかり固められていた。八ツ場ダムが完成したら,この辺りまでバックウォーターが来るのだろうか。

長野原草津口駅
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両岸をコンクリートで固めた吾妻川
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 万座・鹿沢口からの高崎ゆきが着き,長野原草津口始発の特急「草津4号」が先発する。自由席,指定席とも半分以上の席が埋まっていた。
 特急に遅れること7分,こちらも発車する。

真新しい新線(右)と急なカーブがあった旧線(左)
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 来た道を引き返し,16:50着の渋川で途中下車。

渋川駅ホームから赤城山を望む
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最近改装された風の駅舎
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 渋川で降りたのは,いつかクルマで通った時に坂の途中の古い街並みを目にしたからであった。渋川は利根川と吾妻川の合流点に位置する段丘上の街であるが,西側には榛名山の裾がのびて傾斜地になっている。
 残念なことに,目当ての街並みは少し歩いただけでは見つけられなかった。が,いくつかの成果は得られた。

お茶屋さんを覗いていたネコが…
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…こちらに気付いて険しい表情を向けてきた
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 ネコが覗いていた石坂園という茶舗は裏手に古い建物があった。明治13年(1890)に建てられたという古い三階建てで,かつての店舗。前を通る県道の拡幅工事に伴って,奥へと曳家したのだそうだ。

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店舗裏手の古い建物
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 駅と平沢川を隔てて10分ほどの距離に新町五差路という交差点があるが,この上側がかつての中心市街地らしい。
 渋川新町は明治期から昭和30年頃までは東武鉄道の軌道線である高崎線,前橋線,伊香保線の結節点になっており,戦前はさらに渋川から中之条への吾妻軌道と沼田への利根軌道が出ていた。

 交差点の近くに近代建築を見つけた。藤五という群馬県資本の百貨店の支店だったという。百貨店にしては小さすぎる建物だが,開店した当時の渋川の街にとっては丁度いいサイズだったのだろう。
 現在は居抜き物件として化粧品店が細々と営業しているが,解体されることになったと窓ガラスに貼ってあった。

大きな窓ガラスが特徴の旧藤五
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別の角度から。だいぶくたびれた様子
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 渋川17:37発の高崎ゆきに乗り,新前橋で下車。横浜までは3時間弱かかるので,ここからグリーン車に乗って帰る。
 駅の近くのスーパーでビールなどを買い,ホームでICカードにグリーン券の情報を登録して,18:20発の通勤快速上野ゆきに乗り込む。既に暗く,車窓はもう楽しめない。
 特に急がないので,籠原で始発の湘南新宿ラインに乗り換え。高崎線内はガラガラだったが,池袋,新宿,渋谷での乗車が多く,通路側の座席も塞がった。
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