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雪景色の桑名六華苑を訪れる

旅行日:平成29年1月(17~)18~20日②
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 桑名の街を一通り見たあと,六華苑を訪れた。宏大な敷地を有する諸戸氏の邸宅の一部が桑名市に移管され,公園として一般に公開されている。
 大きな長屋門で入園料を支払い,園内に進む。積雪のために庭園の一部には入れないとのこと。

 緩やかな坂道を下って行くと,4階建ての塔をそなえた水色の洋風建築が現われた。

塔屋が特徴的な旧諸戸家住宅
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 建物の中に入る前に,庭園から邸宅の外観を眺める。
 芝生の庭は一面の雪景色で,足跡も少ない。今の時季ならば芝生も枯れた色をいているだろうから,雪の方が嬉しい。ただ,陽射しが強いこともあり,露出が難しい。

洋風建築と純和風建築が繋がっている
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塔屋の3・4階部分。ガラスは曲面のものを使用している
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洋館とは完全に対照的な和館
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ほぼ全面的に凍結した庭園の池
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 この大邸宅を所有した(二代目)諸戸清六は山林の売買で財を成した。
 邸宅は大正2年(1912)の竣工で,洋館部分はジョサイア・コンドルが設計を手掛けた。イギリス人建築家のコンドルは,明治10年(1877)に日本政府のお雇い外国人として5年契約で来日した。工部大学校(のちの東京工業大)で教授を務め,欧化政策の象徴ともいえる鹿鳴館(東京市麹町区)の設計も行った。
 任期を延長して明治20年まで政府で働いたあとも日本に留まり,多くの建築設計を手掛けた。
 彼の作品の多くは東京・横浜に集中していたため,多くが震災や戦争で失われてしまった。現存する建築物としてはニコライ堂,岩崎久弥邸(岩崎庭園),古河虎之助邸(古河庭園)などがある。
 諸戸邸は地方にあるコンドル建築の稀有な例である。

柔らかな冬の陽光で暖かな洋館のサンルーム
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和館のタタミの上から雪の庭を眺める
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内庭側は雨戸が閉まっていたが,格子の連なりが美しかった
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 六華苑に隣接して,(初代)諸戸清六の屋敷もある。こちらは非公開で,春と秋の一時期に庭園が開放されるという。ぐるりと回ってみたが,二軒合わせておそろしく宏大な敷地であることが伝わってきた。
 周辺には諸戸氏の名のついた会社や社会団体が点在し,現在も大きな事業を展開していることを感じた。

これだけで“家”に見える長屋門
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個人宅だというのにレンガ造りの倉庫を3棟を有する
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 (初代)諸戸清六は桑名の発展に大きな貢献をしている。
 低湿地に位置する桑名の街は飲料水の質が悪かったため,絶えず伝染病の脅威に晒されていた。桑名町では水道建設計画があったものの,財政がそれを許さなかった。
 清六は明治32年に山間部の水源から自宅までの水道を引き,これを一般にも開放した。それだけではなく,明治37年にはさらに大きな水源から街に水を引き入れ,桑名町55ケ所に設けた給水栓で人々に水を無料提供した。
 この近代的な水道は全国で7番目,東海地方では初めてのものだったという。

 イヤな見方をすれば大格差の時代の片鱗が見えるとも言えるが,これだけの事業を街のために行うなど,そうできることではない。

邸内のレンガ造りの筒状の構造物は給水塔?
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 桑名駅に戻る途中,海蔵寺を訪れた。ここには宝暦治水を行った薩摩藩士たちが祀られている。
 濃尾平野は大河川の下流域という地域柄,水害がきわめて多かった。桑名も例外ではなく,慶安3年(1650)には揖斐川と町屋川の堤防が切れて城下が水に浸かり,桑名藩領12万石中6万石以上の田畑が被害を受けた。

 宝暦4年(1754),幕府は薩摩藩に命じて,木曾三川の治水工事を行わせた。いわゆる御手伝い普請であり,薩摩藩は金銭的に大きな負担を強いられた。また,幕府の役人との折り合いの悪さなどもあり,工事終了までに61名の藩士が抗議の自刃を行った。

 海蔵寺に埋葬あるいは碑が建っているのはその内の24名で,藩の家老で総奉行を務めた平田靭負がその中心に祀られている。
 宝暦治水以後は大きな水害は減少したが完全にはなくならず,嘉永7年(1854)の地震では津波に見舞われた。

海蔵寺の旗には島津家と平田家の家紋が印字されている
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雪の中,藩士の供養塔の中でひときわ大きいものが平田靭負の墓碑
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