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四日市港に末広橋梁を見に行く

旅行日:平成29年1月(17~)18~20日④
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 新春の三重県旅,第二日目。
 やや遅めの8時半頃に近鉄四日市駅近くのホテルを出る。本日最初の乗り物は電車でもバスでもはたまたレンタカーでもなく,自転車である。
 近鉄高架下の駐輪所で「こにゅうどうレンタサイクル」を申し込む。平日は朝7時から使え,利用料金は一日120円と格安だ。
 “こにゅうどう”とは何ぞやと思ったが,四日市市のゆるキャラであるこにゅうどうくんから来ているとのこと。このキャラクターは四日市の祭りで街を練り歩くからくり人号の大入道山車にちなんでいるそうだ。

 自転車で向かうのは港湾地区にある二つの可動橋である。

 繁華な近鉄四日市駅から一直線に延びる中央通りを東へ。非常に幅の広い通りで,おそらく戦後の都市計画で防火帯を意識して設計されたものであろう。市役所を過ぎると俄かに寂しい街並みとなり,通りの突き当りにJR四日市駅が建つ。
 昭和31年(1956)までは近鉄もこの駅に乗り入れていたが,駅の前後に急曲線が続き,スピードアップの障害になっていた。その改良のために現在地に専用駅を設け,ルートを変更した。
 国鉄に較べて近鉄の方が列車本数が格段に多くて便利だし,百貨店などの商売も上手である。近鉄四日市駅(当初は近畿日本四日市駅)はたちまち四日市市の中心地に君臨した。四日市は三重県で最も人口が多い市であるが,その玄関駅ながらも寂れきったJRの駅が哀れだ。

繁華な近鉄四日市駅附近の中央通り
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閑散としたJR四日市駅前
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やたらと幅の広い中央通り
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 JRの踏切を渡り,海側に出る。旅客駅としては寂しい四日市駅であるが,側線が幾本も延び,コンテナやタンクの貨車の列が何本も見える。
 この駅を起点にした何本かの引き込み線も健在で,その内の一本が可動橋である末広橋梁に続いている。

亀山寄りの踏切から四日市駅構内を望む
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 線路沿いの道がないため,地図を頼りにいくらか遠回りをしたが,国道23号をくぐって倉庫街に入る。その中を区画するような千歳運河に末広橋梁は架かる。

少しずつ形状の異なった倉庫が並ぶ一劃
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 末広橋梁は橋桁が跳ね上がる仕掛けの可動橋である。いわゆる跳ね橋というヤツだ。
 この橋は四日市沖の埋め立てに伴い,昭和6年に架橋された。今日では陸上交通で事が足りるが,当時はまだまだ舟運も盛んであった。
 現役の鉄道可動橋では最古のものとなり,国の重要文化財と経産省の近代化産業遺産の指定を受けている。

 近くの踏切から見ると,橋に続く線路の先に壁のようなものがあり,その先の線路が垂直に突き立っている。壁に見えるものは橋を上げ下げする際の重りのようだ。普段は跳開した状態で,列車運行時刻に合わせて下降する。
 線路に沿って運河に近づけば,堤防を越えて水際まで行くことができる。

天に向けて聳え立つ線路
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複雑そうな機構とは裏腹に,跳開によって生じる水路幅は広くない
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 千歳運河に沿って南に300メートルほど行くと,今度は道路橋の臨港橋が架かる。初代の臨港橋は末広橋梁と同時に架けられたが,平成3年に架け替えられている。
 新しい橋は太鼓橋のように中央部が盛り上がり,先の見通しが悪い。そんな事情があってか,鉄道の踏切のような遮断機がついている。また,道路橋という性格上,末広橋梁とは違って舟が通る時だけ開くようだ。

臨港橋には踏切の警報機と遮断機が備わる
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末広橋梁に較べるとスマートに見える跳開機構
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 臨港橋から末広橋梁まではやや距離があるが,見通しはよく利く。歩道から迫り出した部分があり,自転車を停めても往来の邪魔にならない。もっとも,歩行者など通らないのだが。
 朝一番の列車は9:50頃に末広橋梁を通過する。時刻の10分ほど前になると,自転車でやって来た職員らしき姿が橋梁脇の建物に入り,やがてゆっくりと橋が降下しだした。

臨港橋から眺める末広橋梁の下降模様
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 この場所は線路から離れているため,踏切の音も走行音も聴こえない。倉庫の陰からいつ列車が現われるのか不安だったが,それは杞憂に終わった。列車の速度はひどく遅く,ゆるい速度で橋梁に差し掛かった。おかげで何カットか収めることができた。
 橋の袂には数人の撮影者の姿が見えたが,臨港橋から見ていたのは私だけであった。

ゆったりとした速度で末広橋梁を列車がゆく
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広角で橋の全景と周りの景色を取り込んでのもう一枚
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 臨港橋を渡り切ったところに踏切があり,末広橋梁を渡った列車は大きくカーブしてこっちにやって来る。列車の速度が遅いこともあり,自転車で先回りすることができた。
 無骨なディーゼル機関車の前部デッキには係員が乗り込んでいる。入れ換えのための誘導員なのだろうが,こんな日は寒いだろうなと思う。

踏切で待ち構えて撮影。デッキに乗り込んだ係員さんがカッコいい
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 末広橋梁を渡る列車は,私が昨日通った三岐鉄道の東藤原駅からやって来る。東藤原から三岐線を電気機関車に牽かれて富田まで来た貨車は,そこでJRのディーゼル機関車に付け替えられ,関西線を四日市駅まで走る。そして,末広橋梁を渡って旧四日市港駅に入るのだ。
 JRの機関車が切り離されると,待機していた太平洋セメントのスイッチャーで同工場内に引き入れられる。この時,工場からは空の貨車が引き出され,逆の順序で東藤原駅に送られる。

 なお,橋を渡った先は昭和60年までは四日市港駅であったが,書類上は駅が廃止され,四日市駅の構内という扱いになっている。四日市と四日市港の間の営業キロは2.5キロであったが,今やその全てが四日市駅の中ということらしい。

 列車の通過は日に3本あるようだが,一度見られれば満足なので,街中に戻った。

すわ公園交流館は昭和4年に地元実業家から寄贈された旧図書館
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 レンタサイクルを返却し,近鉄四日市駅近くで遅い朝食。ようやく電車での移動が始まる。
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