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夏の北海道ドライブ2014(2) 雄冬岬,増毛の酒造,留萌,明日萌駅と萌の丘

旅行日:平成26年6月23~26日⑤
前の記事 夏の北海道ドライブ2014(1) 札幌羊ケ丘,ハマナス咲く石狩砂丘
 夏の北海道旅,第二日目。クルマで札幌から石狩を経て日本海オロロンラインを北上し,浜益までやって来ました。
 浜益から増毛にかけては暑寒別岳をはじめとする増毛山地の山々が日本海にそのまま落ち込んでおり,断崖絶壁が続きます。
 幌という集落で海岸に追い詰められた国道は,波打際を走り,床潭覆洞(洞門)を抜けて二ツ岩トンネルに入ります。1,793メートルの長いトンネルで,海沿いに旧道があるようでした。二ツ岩トンネルを抜けた先の千代志別が昭和33年までの国道の開通区間でした。
 千代志別から大別苅に到る30数キロの区間の国道工事は昭和33年に始まり,56年にようやく開通しました。現在,各所で改良工事が行われており,片側交互通行が続きました。明かり区間には工事車両が停まっていたり,道幅に余裕がなかったりして,クルマを停めて景色を眺める余裕はありませんでした。
 ようやく停まることができたのは,雄冬岬トンネルを抜けたところでした。石狩方面を振り返って撮影していますが,海岸地形の険しさはこんなものではなかったです。
 ただ,覆洞の上の山肌がスパッと切れたようになっているのは,昭和56年の崩落の痕です。この年の11月にようやく開通した国道でしたが,崩落によって僅か1ケ月後に通行止めになってしまいました。
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 このパーキングスペースのところには白銀の滝と名付けられた瀑布があり,奇岩の間から音をたてて流れ落ちていました。荒々しい眺めです。
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 長かった石狩市の区間が終わり,増毛町に進みます。雄冬集落の山側には展望台が整備されているということなので,急な坂を登って行ってみました。
 駐車場に入れるも,展望台はまだ上で,階段を登らねばなりませんでした。展望台までは車道が通じておらず,どうやって建設したのか気になるところです。
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 展望台はガラス張りの建物で,窓が開かなくて熱気がこもっていました。景色の上でも,外とあまり変わらなかったり…。
 しかも,肝腎の雄冬岬は岩山の向こう側。峨々とした断崖絶壁が続く眺めを期待していたので,ちょっと残念でした。
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 これから向かう北側にはまだまだ急峻な海岸が続いています。そして,不穏な薄雲が出てきました。
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 眼下には雄冬港を望みます。雄冬集落は長らく陸の孤島だったところで,昭和56年に国道が開通するまでは増毛から舟で来るしかなかったのだそうです。
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 駐車場に戻ると,谷伝いに雲が流れ下って来つつありました。湧き立つ雲が青空と新緑と相俟って,瑞々しい景色です。
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 そろそろ昼食にしたいところですが,展望台の駐車場には墓地が隣接していたので止めにして雄冬集落に下り,海沿いの湧水のあるところに決めました。この雄冬冷清水は200年以上の文献にも記載があるそうです。残念ながら飲用には適さず,冷えた流れで手指を清めました。
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 昼食は石狩のサーモンファクトリーで購入したグルメおにぎりです。我々が購入したミックス(サケ・いくら)は410円とお高めでしたが,ずっしりとした特大サイズである上に具がぎっしり詰まっていて,満足の内容でした。おかずにはサーモンザンギとサケ入りのシューマイを選び,3人で分けて食しました。
 おにぎりを持ちながらカメラを構えるのが難しく,割ってはみたものの具材の様子が伝わらない写真になってしまいました。
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 食後はドライバーがはなから私にチェンジ。人様のクルマを運転するのは緊張しますが,彼のクルマは私の家のクルマと同じ車種なのです。

 雄冬から増毛にかけても峻険な海岸地形が続き,トンネルばかりです。工事のために片側交互通行している箇所もありました。
 いくつもトンネルを抜け,30分ほどで増毛の街に入ります。すっかり曇ってしまいました。一先ず増毛駅前へ。増毛は深川から延びる留萌本線の終着駅です。無人駅ですが,土産物屋が入居していました。
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 あまりにも開放的な駅構内に立ち入ると,丁度列車が到着しました。列車と云っても1両きりのディーゼルカーで,下車してきたのは旅行者らしい2人だけでした。増毛駅に発着する列車は一日僅か6往復(休日は5往復)。
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 増毛とは珍奇な地名ですが,天明5年にマシケ場所が二分されて運上屋が置かれるまではポロトマリという地名だったそうです。ポロはアイヌ語で「大きい」という意味で,トマリは和語と同じく「港」を意味します。文字通り大きな港町で,明治時代にはニシン漁で活況を呈し,商業が集積しました。
 駅前には古めかしい旅館「富田屋」と観光案内所になっている「風待食堂」。古い時代の鉄道駅を彩るストラクチャが揃っています。
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 増毛には日本最北の造り酒屋である国稀酒造があります。私とはなはクルマで,やつるぎ君は走って移動。
 国稀酒造は明治15年の創業。創設者の本間泰蔵は新潟県佐渡の出身で,小樽を経て明治8年に増毛で呉服商を始めました。酒造りを始めたのは,ニシン景気に沸く増毛では酒の需要が旺盛なものの,酒を造るところがなかったためだそうです。
 現在地に移ったのは明治35年のことで,間口も広いですが,それ以上に奥行きのある建物でした。
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 こちらは隣接する米蔵。現在はギャラリーになっているとのことです。
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 試飲が豊富にありましたが,はなと私は運転があるので,残念ながらパス。ちょっと心許ないですが,代表してやつるぎ君が試飲し,今夜のお供を決めることに。
 試飲担当の女性に様々な種類を薦められた彼は,仕舞いにはすっかり楽しくなってしまったのでした。
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 やつるぎ君が選んだのは「北のきらめき」という純米酒。夜が楽しみです。

 日本酒の試飲ができなかった私は,醸造にも使用しているという暑寒別岳の伏流水で我慢しました。もっとも,これもまろやかで美味しい水でした。
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 増毛には古い建築物が多く残り,魅力的な街でしたが,これで出発します。次回は冬の季節にでも列車で訪れ,街を歩いて,日本酒を酌み交わしながら帰りたいと話しました。

 再び私がハンドルを握って,海岸沿いを留萌へ。引き続き海沿いの道ですが,増毛までに較べるとずっと開けています。
 取り敢えず留萌駅へ。留萌は「るもい」と読みます。ルルモッペというアイヌ語に留萌という字を宛てて「るもえ」という和語風の地名にしたものの,居住者に東北・北陸出身者が多く,そのイントネーションから「るもい」に転訛したのだそうです。
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 16:20を過ぎて駅員配置時間が終了し,丁度出入り自由になったので,ホームに入ってみました。現在は留萌本線一線だけで,ホームは2本だけですが,かつては羽幌線(昭和62年廃止)と私鉄の天塩炭礦鉄道(昭和32年廃止)が乗り入れていました。両線とも沿線に炭礦を抱えており,石炭を満載にした貨物列車がこの駅に集まってきたのでしょう。
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 駅前通りの様子。人通りは疎らですが,想像していたよりも大きな街です。留萌市の人口は市としてはかなり少ない約2.3万(平成25年10月)ですが,郊外には大型店も多く,数字と印象とはだいぶ異なっていました。
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 駅の観光案内を見ると,街の南側の高台に千望台という眺めの良い場所があるとのことなので,クルマを走らせます。
 そこからは晴れてきた留萌の街を一望できました。天売島・焼尻島も薄っすら見えましたが,写真には写りません。もっと天気が良ければ,遠く利尻島の利尻富士まで見えるのだそうです。
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 増毛方面の沿岸には雲が多く,その隙間から漏れた光が穏やかな海面を照らしていました。
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 千望台はちょっとした公園になっていて,十年以上ぶりにシーソーに乗ったりしました。

 時刻は17時。夕食は宿泊地の旭川でラーメンを想定していましたが,はなが留萌に安くて旨い寿司屋があるので早目の夕食にしないかと提案。二人とも異論はなく,留萌の街に下りました。
 訪れたのは「蛇の目」という寿司屋兼居酒屋。早い時間なので駐車場には一台のクルマも停まっていませんでしたが,帰る頃にはかなり埋まっていました。
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 註文したのは「特上ちらし」。具材は日によって違うのかもしれませんが,この時はトロ,サケ,いくら,ウニ,カニ,ホッキ,とびこ,イカ,甘エビ,それに留萌の特産品でもある数の子などでした。特上であり,具材も豊富ながら1,600円(税抜き)は安く,各魚介が美味でした。
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 陽も傾き,そろそろ旭川に向かいます。その途中にある留萌本線の恵比島駅がテレビドラマに使われたということで,やつるぎ君の希望で立ち寄ることにします。
 深川に向かう国道233号は留萌川を鉄道に沿って遡っていきます。大和田というところからは自動車専用道路の深川留萌道が開通しており,長距離車はそちらを利用するとみえ,空いていました。
 山深くなって,峠下駅のところで道道867号に入ります。駅名からも分かるように,ここから峠越えに掛かりますが,恵比島峠は標高僅か100メートルで,あっさりと過ぎてしまいました。

 峠を越えると間もなく恵比島駅。この駅が登場したのは,平成11年に放送されたNHKの連続テレビ小説「すずらん」です。私は観ていないのですが,ヒロインの養父が駅員という設定で,恵比島駅は明日萌駅として登場しました。駅舎の如き建物は放送終了後に地元の沼田町が建てたもので,撮影時はその右側に造られたセットが使用されたのだそうです。
 “明日萌駅”の右側,倉庫のような建物が本来の恵比島駅の駅舎で,北海道ではよく見られる車掌車流用駅舎をそれっぽく装飾しています。
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 駅はホーム1本の簡素なものになっていますが,かつては交換設備があり,昭和46年までは私鉄の留萠鉄道が分岐していました。
 それらの面影は稀薄で,ただ草が生い茂るだけでした。その中に建つ日本ケミカルコートと記された廃墟は在りし日の留萠鉄道の施設だったそうです。
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 駅前に建つ旅館はドラマ内で中村旅館として登場した旧黒瀬旅館。留萌本線が開通し,同時に恵比島駅が設置されたのは明治43年のことですが,それ以前の恵比島は峠下の集落として栄えたのだそうです。現在は国道が別ルートになったこともあり,往来も僅少でした。
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 恵比島駅で時刻表を見てみると,あと10分ほどで増毛ゆきの列車が来ます。折角なので,どこかいい場所があれば撮影しようとクルマを出します。
 道道を逸れて踏切に行ってみると,程なく鳴り出しました。しかし,線路際の藪が濃くて列車が殆ど写りませんでした。
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 近くに「萌の丘」というのがあり,景色が良いと地図にあるので,そこにも足を向けます。
 なるほど,夕焼けに照らされた空知平野を一望できます。
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 昼間は陽射しが強く,暑く感じましたが,陽が傾くと半袖では肌寒いくらいです。
 夕映えの優しい色合いに染まる恵比島方面。
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 ズームレンズに替え,空知平野と上川盆地を隔てる山並みの向こう側の大雪山系を撮影。
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 19:05,西の山の端に陽が没しました。この日―6月24日の日の入りはは東京が19:00なのに対し,札幌は19:18。ここは札幌よりも高緯度なので,山がなければもっと遅いはずです。ちなみに日の出は東京が4:26,札幌は3:56となっていて,さらに差があります。感覚的には17時くらいなので,この陽の長さと感覚のズレに我々は苦しめられます。
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 私の運転で,沼田の市街地を抜けます。沼田は昨年秋にも通っているので,少し懐かしく感じました。
 深川まで行くと遠回りなので,国道275号から主要道道98号へ。道はよく,対向車もあまり来ません。時折,擦れ違う時だけライトを下目にして,快走。平成20年開通という長さ1,930メートルの湯内トンネルを抜けると上川盆地の旭川市で,長い橋もある高規格の道を下っていきます。
 道央道をくぐり,JR函館本線と石狩川を跨ぐと国道12号に突き当たります。これを左折して再び石狩川を渡り,近文にあるイオンモール旭川西へ。夕食が早かったので,肴を多めにした酒肴を仕入れて旭川駅近くのホテルに入りました。20時半過ぎ。

 ホテルは広い和室で,部屋の大きな風呂にはなんと温泉が出ました。我々はそこには入らず,地下にある大浴場に行ってしまいましたが…。
 冷やしておいたビールで乾杯し,増毛で購入した「北のきらめき」も開けました。少々お高いだけあって,美味しいお酒でした。
 酒が進んだのと疲れから,はなと私は流れで寝てしまい,やつるぎ君が片付けてくれた模様。翌朝見ると,買ってきたビール6本が空き,「北のきらめき」も殆どなくなっていました。

 この日の運転は,雄冬~増毛駅,国稀酒造~千望台,萌の丘~近文が私,あとははなでした。
次の記事 夏の北海道ドライブ2014(3) 石狩川上流―層雲峡と大雪ダム,三国峠
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中の人は相州生まれの相州育ち。アラサー。
地理・地図好きの筆者が、街を歩いたり、ドライブしたり、列車に乗ったり、山に登ったりしたことを書いていきます。大体3日おきに更新中。

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