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冬の南東北小旅行(1) 仙台まで行く途中で矢吹に寄り道

旅行日:令和5年1月9~11日①

 1月の連休は雪国を目指した。連休と言っても勤務の関係で2泊できる。
 ちょうど青春18きっぷシーズンの終わりにかかったため、往きは18きっぷが使えるが、帰りは別の手段を考えねばならない。目的地は山形県だが、あまりにも雪がひどくなって交通が杜絶した場合も想定して、ホテルは仙台と福島で押さえた。


 1月9日の仕事終わりの朝、仙台に向かう。乗れる列車は横浜10:02発だが、途中での接続は良く、仙台には17:04に着ける。

 横浜駅で「青春18きっぷ」に4つ目の入鋏印が入り、湘南新宿ライン宇都宮ゆきに乗り込む。きょうは祝日で休日料金なのでグリーン車にした。朝食を摂って眠っているうちに都心を過ぎ、乾燥した畑を見ながら関東平野を北上してゆく。
 宇都宮では4分で黒磯ゆきに乗り換えだが、折り返し列車の遅延により11分遅れた。なんとか座れたが、3輛では座席の前まで立つ人も多い。黒磯着7分延。
 黒磯からは5輛編成のボーナスステージだが、東北地方に入って新白河からは2輛。座れたとはいえ荷物の多い客で混んでいるので逃げ出したくなり、矢吹で途中下車した。仙台着は17:59着と55分遅くなるが、1時間の散策が楽しめる。

 矢吹駅は円筒を組み合わせような奇抜なデザインの駅舎で、駅員もいた。ただ、1月末でみどりの窓口の営業を終えるとのこと。
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東西自由通路
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電車と同じラインカラーが入った観光案内所
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 町の大半を占める矢吹ケ原は近代まで荒野で、失業士族によって開墾が行われるとともにキジを放鳥して岩瀬御猟場が作られた。矢吹駅は明治20年の日本鉄道開通時からの停車場であるが、御猟場に赴く高位の者の利用で賑わったという。昭和12年には矢吹ケ原に陸軍熊谷飛行学校矢吹分教場が開かれ、軍事的な側面も持つようになったが、そのために空爆被害に遭っている。
 町の鳥がキジで、キャラクターが「やぶきじくん」なのは御猟場にちなんでいる。

駅舎を駅前通りから見たところ
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 駅前通りを進むとすぐに奥州街道と交差する。この近さは小さな街らしい。矢吹は奥州街道の宿場町で、千住宿から数えて34番目の矢吹宿が置かれた。宿場の南の中畑新田は水戸街道との分岐点でもあり、棚倉を経て明神峠で常陸国に入り、太田を経て水戸城下に到っていた。比較的大きな宿場町であったことから、戊辰戦争の際には戦禍に遭って街並みが失われた。
 「矢吹」の地名は八幡神社に由来する。前九年の役の帰途、八幡太郎義家が当地に八幡宮を建立し、その屋根を柄でいたためとされる。この神社は水戸街道沿いに現存する。

 矢吹の街のシンボルは「大正ロマンの館」。大正9年(1920)に医院兼住居として建てられたもので、東日本大震災では大きな被害を受けたが、修復の上でカフェなどとして生まれ変わった。
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バルコニーや壁面の漆喰装飾
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 洋風建築の向かいには良い意味で対照的な赤瓦の大木代吉本店。慶応元年(1865)創業で矢吹町で唯一の酒造とのこと。入ってみたかったが、ここで買ってしまうと日本酒を担いで旅を続けることになるので自重した。
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奥州街道沿いには切妻造妻入りの商家建築も
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 中心部にあるスタイリッシュな現代建築の「KOKOTTPO」は町の複合施設。図書館、公民館、山車の展示場だけでなく、キッチンスタジオまで入っていた。
 一角には矢吹町出身の元読売ジャイアンツ選手の中畑清さんのコーナーがあった。スポーツに興味の薄い私だが、町内に「中畑」という地名があるので引き寄せられたのだ。当地に根ざした武家の末裔とのこと。
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 斜向かいに「実践堂」がある。さっき通ったときは気付かなかったが、古い建物だ。旧東邦銀行矢吹支店で、「大正ロマンの館」に飾ってあった古写真に写っていた。
 奥州街道と駅前通りが交わる辻に面しており、街の一等地だったに違いない。
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 奥州街道から西側に一本入ったところに矢吹神社が鎮座する。
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桜の樹が多い境内
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奥州街道沿いに蔵が点在する
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 駅に戻ると運行情報が出ており、福島の先での沿線火災により藤田と槻木の間が止まっていたが、運転再開したらしい。
 下車から約1時間後の15:16発の郡山ゆきに乗る。新白河で黒磯方面からの接続を受けていないので、空いていた。郡山ではホーム向かいの福島ゆきに乗り継ぎ。ボックス席に座れた。
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 福島16:28着。着く直前にアナウンスがあり、白石附近で貨物列車が車輛故障を起こしたため、福島から白石まで止まっているとのこと。なんともツイていない。
 しかし、福島駅で確認すると新幹線への振替輸送を案内された。特急券もいらないという。
 新幹線は16:24発が出たばかりで、次は17:11発。約40分待つにも関わらず、仙台には予定よりも20分早い17:39に着く。
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 三連休最終日に振替輸送の客が加わり、新幹線は非常に混んでいた。着席はおろか客室に入れず、なんとかデッキに立った。調子に乗って色々買い込んだりしなくて良かった。
 白石蔵王に停まっていくつもトンネルを抜けると、速度を落として仙台に着く。
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 きょうは全国旅行支援の対象外の日ゆえ、夕食の店に直行できる。牛タンの店はどこも並んでおり、以前にも入った「麺飯甜」で麻婆焼そばを食した。
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 全国旅行支援はないが、「仙台トク旅キャンペーン」で宿泊費が数千円割引となり、かなり安く泊まることができた。


※「福島の先での沿線火災」と「白石附近で貨物列車が車輛故障」は別件だと思っていたが、後で知ったところでは「カシオペア号」の回送列車の機関車が故障して火花を出し、線路際の草に燃え移ったという一件であった。

次の記事 冬の南東北小旅行(2) 山形鉄道で雪ふりしきる置賜盆地をゆく
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