旅行日:令和4年6月15~18日②
前の記事 備瀬のフクギ並木集落と慶佐次湾のヒルギ林を散策 6月17日、金曜日。きょうは慶良間諸島(列島)の渡嘉敷島に渡る日だ。
泊港10時発のフェリーで渡嘉敷に向かう。慶良間諸島は渡嘉敷村と座間味村の2村に属し、那覇・泊港から各村に船便がある。
渡嘉敷島への船便はフェリー1往復、高速船朝夕2往復(多客期は日中に増便されて3往復)が就航している。私たちが9時発の高速船ではなくフェリーにしたのは、きょう一日雨の予報で、天候に期待が持てなかったからだ。
慶良間諸島の位置

地理院地図より。
ホテルを出ると蒸し暑い。泊港フェリーターミナルの「とまりん」で乗船券を購入し、コンビニで昼食を確保しておく。
渡嘉敷島ゆきのフェリーは「フェリーとかしき」。生活物資を航送する船便であるので、荷物の積み込み作業が進む。

定刻に出航。客は少ないが、観光客らしい浮ついた恰好のグループもいる。
同時刻出航の「フェリーざまみ」の後を追うように泊大橋の下をくぐる。でーひらさんは湾岸のホテル情報などさすがに詳しい。

那覇空港に着陸する飛行機の下をくぐりながら、フェリーは西に進む。最初の現れる陸地が慶伊瀬島だ。慶伊瀬島は台礁で、チービシ(慶伊干瀬)とも呼ばれる。時折、交代で甲板(でーひらさん曰く「かん
ばん」)に景色を見に行く。
斜め前を「フェリーざまみ」が先行する

続いて前(めー)島が現れた。南北に細長く、平地なんかほとんど見られない小島だ。そのような前島にも明治時代後期には約250人が住み、前慶良間村(町村制前なので、本土の藩政村に相当)を構成していた。が、昭和37年に風災に遭って全戸が離村して無人島になった。今は僅かに暮らしている人がいるそうだが、定期航路はない。

黒々とした巨岩からなる城島を回ると、渡嘉敷港が見えてきた。初めての島の初めての港が見えてくるときはワクワクする。隆起サンゴ礁に囲まれた島嶼が多い沖縄県にあって、断崖に囲まれた島で、高木にも乏しい。私は礼文島の香深港を思い出した。むろん南の島であるので、船外は蒸し暑い。

渡嘉敷港に入港

あらかじめお願いしておいたので、港には宿泊先のクルマが迎えに来てくれていた。クルマに乗ったのは私たち二人だけ。
渡嘉敷島には3つの集落があり、渡嘉敷港や中心集落のある渡嘉敷は島の東岸にあるものの、ビーチはない。島の西岸にはビーチに恵まれた阿波連(あはれん)と渡嘉志久(とかしく、字はいずれも阿波連)の集落があり、小規模な宿泊施設が多い。
私たちが泊まるのは渡嘉志久集落。クルマは道の狭い渡嘉敷の集落を抜けると、畑地に出た。サトウキビ畑らしいが、植え付け前なのでよく判らない。急坂の峠を越えると阿波連に向かう車列を離れ、急な坂を渡嘉志久へと下った。
宿泊先は空いていた。11時前に部屋に入れるのはありがたい。ひとまず靴からサンダルに履き替え、前面のビーチに出てみる。
コーラルサンドの砂浜は白く、浅瀬の色が美しい。膝下まで浸かるところまで進むと冷たく感じるが、身体が慣れてくると心地よくなってくる。

雨の予報は外れたのか、今朝から傘を差していない。それどころか雲間からわずかに青空が見えている。サップをしていたグループは12時の放送を潮に引き上げて行った。
ビーチの北側は磯になっている。ヤドカリが歩いている。白い砂浜にいたのは小さいヤツだったが、ここのは拳大の大きさだ。

磯にいるデカいヤドカリ
集落内で飼われている仔ヤギ

脚の砂を洗い流して、いったん宿に撤退。屋外のシャワーが使えるのは宿泊のメリットだ。泳ぐ人なら猶更だろう。
冷房の効いた部屋で用意しておいた昼食にする。オリオンビールも一罐空ける。こんなグダグダ具合だから、つい応答がなおざりになる。でーひらさんが「おい、このやり取りがあと24時間続くんだぞ」と言う。
宿のクルマが14時に阿波連への送迎サービスをしているので、乗っていく。渡嘉敷島では渡嘉敷と阿波連を結ぶ路線バスが1日3往復(船便増発期は4往復)しているが、渡嘉志久には寄ってくれない。山がちの地勢だからレンタサイクルも不便だ。タクシーは島に1台しかない。
10分ほどで阿波連に着いたが、なんだか雲行きが怪しい。

阿波連も美しい砂浜だが、やや波が高い。海に入る気にもなれず、展望台を目指す。集落をウロウロしているとおっさんに声を掛けられ、その話をすると展望台よりももっと眺望が良い地があると教えてくれた。
路地にアカバナーが咲く

阿波連港に続く道が分岐し、しばらく登ると右手の景色が開けた。なるほど、曲線を描いた白い阿波連ビーチが一望だ。浅瀬の色が美しい。画角を落として黒い雲が目立たないように写したが、晴れた時に来たかった。

水道を隔てて島々が見える。座間味村に属する阿嘉島、慶留間(げるま)島、外地(ふかち)島だ。3つの島は架橋で接続されているが、座間味島とは離れている。

時間を持て余しているので、結局当初の目的だった展望台にも足を印した。海の色を見るにはこっちの方が良さそうだ。

環礁の内側に離(はなれ)島がある。無人島だが阿波連から手頃な距離にあるので、船で渡ることができる。離島のネームバリューがないからか、「無人島行き」になっていた。

北に続く海岸線。断崖の間に白いビーチが見える

さっきから暗くなっていたが、展望台から雨のカーテンが見えた。時すでに遅しで、たちまち驟雨になった。慌てて何かの施設の庇の下に逃げ込んだ。じっとしていると蚊が集まってくる。
雨は止む気配がないし、天気サイトも同じことを言っているので、小康状態になったところで歩き出す。
長い坂を登って振り返ると、阿波連の集落を見下ろせた。「ハブに注意」の看板が立っている。ハブ(でーひらさん曰くハブ名人)は夜行性らしいが、あまり気持ちの良いものではない。

峠からは急坂の近道を下り、渡嘉志久には30分で着いた。宿の方は40分くらいかかると言っていたので、だいぶ健闘した。
ブルーシールのアイスを食べてクールダウンすると、夕食まですることがない。部屋でだらだらするしかなかった。
18時からの夕食はバイキング形式。館内ではあまり見かけなかったが、7、8組の宿泊客がいたようだ。テラスで食事を摂るグループもいたが、雨が降りしきっている。
部屋飲みでオリオンビールや泡盛を呑み、寝落ちのように一日が終わった。
窓を開けておいたが、波の音よりも雨の音の方が大きかった。
次の記事 慶良間諸島渡嘉敷島への旅(後)
- 関連記事
-
スポンサーサイト
コメントの投稿